天気晴朗なれども風強し

山登り登山

最終日、やっと天候が回復。日の出までに稜線に出ることを目指して暗いうちテントを出る。荷物をテントにデポしての空荷なのでスピードがでる。地蔵の頭からは横岳方面に向かい、ピストンして帰路につく。テントを乾かすのに時間を費やすも、美濃戸のゲートから親切な登山客に美濃戸口まで車に乗せてもらう。

09/22 参考にならないタイム
行者小屋 05:00⇒ 地蔵の頭 05:40⇒ 石尊峰 06:50⇒ ?

04:00 起床、満天の星空。天候は問題ない。が、晴れた日は放射冷却でめちゃくちゃ寒い。新しいシュラフは優秀だが、妻は死んだおばあちゃんの所へ行く幸せな夢をみて危なかったらしい。保温を強化しないと。 更に、テントを張った地面が緩やかに傾いていて寝るとき頭が脚の方より低くなっていたようで頭痛がすると言う。反省点は多い。 朝食をとり、登る準備を始める。

05:00 アタッックザックに最低限の荷物を詰めヘッドランプを点けて出発。小屋の周りは樹林帯だが、昨日歩いているので暗くても様子がわかる。 途中の梯子の辺りで明るくなってきたのでライトを消す。本日の日の出は5:28分の予定。

奥多摩方面に登る朝日
奥多摩方面に登る朝日

05:40 地蔵の頭到着。多少日の出に遅れるが問題ない。やはり朝日は稜線がいい。

モルゲンレーテっぽい富士山
東側斜面が赤く染まる

朝日が東側斜面を赤く染めている。稜線は風が強い。

モルゲンレーテっぽい富士山
モルゲンレーテっぽい富士山

日本海側からの冷たい風が雲を押し流して晴天が広がっている。 赤岳の向こうに朝日に染まる富士山が見える。

稜線歩き
稜線歩き

赤岳を背に今日の目的地、横岳に向かう。早朝なこともあって人気は無く、気持ちがいい。

横岳
横岳

二十三夜峰、日ノ岳、鉾岳の険しい岩場をクリアして進む。ほどなく大権現という石碑がある見晴らしの良い場所まで来る。三叉峰の少し手前なので石尊峰の鞍部だと思う。

石尊峰
石尊峰

見晴らしが良いので写真を撮り、湯を湧かそうとするがマッチの火がつかない。実は今回の忘れ物はライターだった。タバコを辞めてからすっかり存在が薄くなって忘れていた。非常用のマッチは数箱あったのだが、ここ数日の雨で湿気ってしまったようだ。そこへ丁度、テントを担いで縦走中の若者が通りかかり、ライターを借りることができる。 彼は小淵沢から入って青年小屋、オーレン小屋、麦草峠と縦走予定だったが、一昨日の青年小屋で雷が酷かったうえ、昨日の土砂降りでオーレン小屋までの移動を諦め途中の赤岳展望荘に宿泊したそうである。今年に入って北アや南アを10回以上縦走してて初めての敗退で、テント慣れしてしまうと小屋の大部屋は辛いと嘆いていた。テント野営の話しが弾む。

石尊峰
石尊峰から赤岳と富士山

鹿島槍が冠雪してるのが見える。 しばらくすると小屋泊まりで縦走している初老の男性が現れる。彼も小淵沢から入ったそうで、今日は高見石小屋に泊まって明日は北八ヶ岳のほうまで脚を伸ばし、蓼科に抜けて南北完全縦走を遂げる予定だそうだ。いいねー。

石尊峰
石尊峰から赤岳と阿弥陀岳

やっと湯が沸いてスープを飲んでいると、行者小屋のテント場で一緒だったカップルが上がって来る。荷物をテントに置いて硫黄岳まで周り、赤岳鉱泉の方から行者小屋に帰るそうである。私たちはピストンなので先に撤収して帰ってしまうだろうと話しをしていたのに、実は後ほどまた会うことになる。

稜線より
稜線より

展望を堪能してから三叉峰を越え奥の院のほうまで行ってから、地蔵の頭に引き返す。この辺でカメラの電池の充電が切れる。4日は頑張った方だったと思う。

地蔵尾根を降りて行者小屋に帰ると、私たちがテントを張った場所は日陰でテントがビショビショのままであった。これは痛い誤算。 帰りのバスを一本遅らせる事にしてテントから荷物を全て日向に出し、フライ、本体を日向に運び、干し始める。ザックがずいぶん水を吸っていた。隣りで撤収していた人と「日向で張ればよかったですねー」と会話を交わす。
ぼんやりとテントが乾くのを待っていると、昨日ぎりぎりの時間に登っていった親子連れや、最後に登って行ったカップルが降りて来る。先程横岳ですれ違ったカップルも赤岳鉱泉ルートで戻ってハイタッチをしている。 荷物をザックに詰め込み、小屋の前でラーメンを作って最後の食事を採る。隣りのテーブルのおじさんにライターを借りて火を点け、お礼にスティック羊羹を渡す。
昨日最後に登ったカップルが後ろのテーブルでコーヒーを飲んでいた。昨日は稜線からの夕日がとても奇麗で見とれてるうちに真っ暗になってしまったと聞く。女の子の方が皆なんで稜線に上がらないのか?せっかくなのにもったいないと言う。でも稜線にテントは張れないんだな。朝日には間に合うよう頑張ったんだけどな。

食後、美濃戸口のバス乗り場へ向かう。南沢に沿った沢ルートで最初は水の枯れた沢の中がルートになっている。わりと平らな歩きやすい路でスピードが乗る、妻が4日間の山行をとおして「今回は後ろから追い抜かれなかった。脚が強くなった」と自慢していたら浮き石に脚を乗せて捻挫する。調子にのってはいけないという戒めだな。 エアサロンパスを吹き付けて、再出発するもそれなりに速度は落ちる。美濃戸口のバス乗り場まで2時間30分というコースタイムになているが、けっこう遠い。 途中、先程小屋でライターを借りたおじさんやトレイルランの団体に追い抜かれる。なかでも横岳で出逢ったカップルはテント装備なのにやたらと速い。若いっていいね。
やっと着いた美濃戸山荘でアイスクリームを食べて一息入れる。久しぶりに文明に触れる。ここまでは林道で車で入れるが、バス停は更に林道を1時間歩いた先になる。林道を少し歩くと駐車場があって、さっき追い抜いていった人たちが荷造りをしてる。手を振って挨拶をする。 林道をトボトボと歩いていると後ろから車が追い抜いて行く。そのうち一台が窓を空けて「乗ってかない?」と言ってくれる。よくみるとさっきライターを借りたおじさんだった。林道歩きは辛いので渡りに舟ってことで謝辞を述べて乗せてもらう。話しを聞くと千葉の方の山岳会の人で東京湾アクアラインを越えて帰るそうだ。 バス停で降ろしてもらって帰路の無事と感謝を告げ、お別れする。しばらくすると昨晩隣りのテントだった人が到着、時間に余裕が出来たので服を着替えていると横岳のカップルのジープがクラクションを鳴らして通り過ぎて行った。 同じテントサイトに2日も停泊したのは初めてで、ずいぶんいろんな人と会話をした山行になった。

稜線より北アルプス方面